おこエコ経済論

エコノミー(経済学)をお好みで

人生はちっぽけだからやりたいことをやりましょうという話

われわれが手にしている時間は、決して短くはない。むしろ、われわれが、たくさんの時間を浪費しているのだ。じっさい、ひとの生は十分に長い。そして、偉大な仕事をなしとげるに足る時間が、惜しみなく与えられているのである。ただし、それは、人生全体が有効に活用されるならの話だ。

『生の短さについて』著:セネカ 訳:中澤務

 

私を含め、あなたの人生はちっぽけです。

100年は短いようであっという間に終わります。

 

ふと通勤電車の外を見るとたまに

ああ、こんな離れた場所でも自分と同じような人間が同じようにくらしてるんだなぁ

と思います。

 

同じような恰好をした人間が、同じような家に住み、同じような生活を送っています。

「そんなの当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、

自分の家の周りしか知らない自分にとってはとても新鮮でした。

 

別にいろんな人間がいると思ってはいませんでしたが、

実際に離れたところでも同じような人間がいるのを見るとなんだか悲しい気持ちになりました。

(きっともっと違った人間が違った家に住んで、違った生活を送っていることを期待してたんだと思います)

 

きっと『進撃の巨人』のエレンも同じ気持ちだったと思います。

エレンは壁の外には巨人しかいないと思っていました。

でも実際には大勢の人間、むしろ壁の中よりも何十倍もの人間住んでいることを知り、絶望しました。

 

しかも、これはきっと日本だけじゃないはずです。

肌の色は違えど、同じような形をした人間が同じような生活をしているはずです。

 

じゃあ自分の人生は一体何なんだと。

同じような人間の中の1人が別に生きようが死のうが関係ないじゃないかと。

 

宇宙から見た地球を想像してみてください。

緑色(森)や白色(雲)はゴゴゴっと大きく動いていますが、

人間の姿なんてこれっぽっちも見えません。

その中で100年というほんの一瞬の中で1人死んで、また1人生まれていきます。

その中の1人の人間が仕事を辞めようが交差点で大声で叫ぼうが大した問題ではありません。

自分にとっちゃ大きな出来事でも、宇宙から見たら塵以下、もう全くと言っていいほど見えません。

 

何千億年も生きてきたこの地球にとって、

自分の生きる100年なんてほんの一瞬の出来事だと。

自分が生まれる前から人は普通に生活しているし、

自分が死んでもあの子はまた公園で遊ぶんだろうなと。

 

そう思うと、ふと自分のしたいことをやりたいだけやって死ねばいいじゃないと思うようになりました。

 

足利義満のような偉人でも、

教科書には「金閣寺を建てた」と載るだけです。

 

きっと当時は「こんな金ぴかのものを建てて、すごい!」ともてはやされたはずです。

でもどれだけ偉大なことをしても、

未来の人間にとっては「ふーん」で終わりです。

 

だったら、偉大じゃなくても自分のやりたいことをやって死んだ方がマシじゃないかと。

 

私の人生もきっとちっぽけで今していることなんて誰も気に留めないし誰も覚えていないと思います。

あなたも同じです。

あなたの人生に興味なんてありません。

その場しのぎで「何してきたんですか?」と聞くことはあっても、

心の底から興味なんてありません。

 

幼馴染みが会社員を辞めて芸人になると言ったときも、

「頑張りや」ぐらいにしか思いませんでした。

 

だからこそあなたは何をやってもいいんです。

「仕事を辞めたら周りにどう思われるだろう」とか、

「こんなことをしたら嫌われるんじゃないか」とか、

そんなものクソくらえです。

 

上司があなたを引き留めるのはあなたが必要だからではありません。

ただ人手が足りていないだけです。

あなたの代わりなんていくらでもいます。

 

とにかくやりたいことやって死ぬ、それだけです。

明日やろうはバカ野郎」です。

自分のやりたいことをやりたいだけやりましょう。

 

おわり

【勉強法】社会人でも使える最強の記憶法『記憶の宮殿』とは?

記憶の宮殿』という記憶法はご存じでしょうか?

冒頭から記憶、記憶うるさいですよね、すみません。

あんまり聞き慣れない言葉だと思います。

 

私も最初は「なんそれ?」と思っていましたが、知れば知るほど「もっと早めに知っておきたかった!」と思ってしまうような記憶法です。

 

「勉強法」で検索するとよくある、赤ペンでマーカー引いて、緑の下敷きで隠して、それを何回も見て覚えるみたいな記憶法ではありません。

 

『記憶の宮殿』っていうのは楽しく多くのモノゴトを長く覚えておける記憶法です。

「おいおい、そんな記憶法なんてあんのかよぉ!兄ちゃんよぉ!おい!」

という声が聞こえてきそうですが、あります。本当です。私もビビりました。

 

今回はそんな謎の集団結社『記憶の宮殿』に迫り、、あ、間違えた、

謎の記憶法『記憶の宮殿』について解説していきたいと思います。

 

記憶の宮殿とは?

『記憶の宮殿』とは簡単に言うと、「脳内に宮殿をイメージし、その中に覚えたいモノを置いていく」という記憶法です。

別名「場所法」とか「メモリーパレス」と呼ばれたりします。

映画「羊たちの沈黙」に登場するハンニバル・レクター博士が実践していることでも有名です。

 

この『記憶の宮殿』は主に受験勉強で使われることが多く、日本史や生物など覚えるだけである程度点数が取れる教科で非常に効果的です。

しかし数学や物理、化学など理系科目には全く向かないので注意は必要です。

 

「そんな宮殿に置いていくだけで覚えられたら苦労しねぇよ、おい!」

と言われてしまいそうですが、確かに宮殿に置いていくだけで覚えられたら苦労はしません。

 

記憶の宮殿のコツ

そこで記憶の宮殿にはちょっとしたコツがあります。

コツというかここが一番重要ですね。

①宮殿=自分に馴染みがある場所

宮殿とはいっても、人は行ったことも見たこともない宮殿を想像するのはできません。

ここで想像してもらいたいのは、モノの配置や細かいところ(ベッドの横やテレビの前に何があるか)まで分かる空間です。

自分に一番馴染みのある空間といえば自宅だと思うので、まずは自宅の自分の部屋を詳細に(エアコンの位置や机の位置、棚の中に何が入ってるかまで)思い浮かべてください。

 

②置くもの=全力でふざける

置くものについてですが、これは自分の覚えたいモノですね。

例えば「1932年に五・一五事件によって犬養毅が殺害された」という出来事を覚えたいとします。

 

このとき単純に文字だけで「五・一五事件」「犬養毅」と置くのではなく、

たとえば、

のように少しふざけたモノに置き換えて自分の部屋に置いていきます。

※「551」の豚まんを逆さまにしてるのは「五・一五」の「一五」が逆だからです

置くモノについては面白ければ面白いだけ記憶に残ります。

めちゃくちゃふざけましょう。

 

③立体的に想像する

この記憶の宮殿を受験生のとき愛用しまくっていたんですが、なぜか忘れてしまうってことがちょくちょく起きてたんですね。

この完全無欠の『記憶の宮殿』に欠点などないと思っていたんですが、欠点がありました。

それは、「覚えるものが大量になるとテキトーに想像してしまう」ということでした。

 

こりゃいけない。

想像がテキトーになるとやっぱり覚えられないですし、置いたモノがごちゃごちゃってしまうんですよね。

 

そこで私が考えたのは「立体的(3D)に想像する」という技です。

テキトーに想像するのは改善しつつ、立体的に想像することでより部屋のどこに何を置いたのか覚えておくことができます。

 

例えば先ほどの五・一五事件、正面から見ると上記の写真通りですが、視点を変えて裏から見てみたり、上から見てみたりします。

すると部屋の中のどの位置に「551」の豚まんと犬が居るのかが、明確に把握できるようになります。

 

この方法を考え出したことで私は宮殿スランプから抜け出すことができました。

 

社会人でも使える理由

受験勉強で『記憶の宮殿』が使えるという話をしてきましたが、社会人でもこの記憶法は十分活用できます。

  • 中小企業診断士宅建など覚えることが多い資格勉強
  • 電話番号や数字などを一時的に覚えたいとき
  • 上司の大切な話を覚えておきたいとき

上記のように使える場面は結構あります。

 

私がよく使うのは資格勉強と数字を覚えておきたいときです。

資格勉強は受験勉強と似ているため、まあ使い方はほとんど一緒なのですが、一時的に数字を覚えておきたいときはとても役立ちます。

 

たとえば会社でデータの分析をしてるとき、「ちょっと長い数字を一瞬だけ覚えておきたい」なんてことがあります。

でもペンで紙に書いておくほどでもない、そんなときあらかじめ用意しておいたモノに置き換えて目の前の机に並べていきます。

短い数値の場合は「5,423(腰兄さん)」とかテキトーに覚えればいいのですが、長い数字の場合は「記憶の宮殿」を使います。


例えば、13,209,525の場合

ポッキーが太陽で溶けて、猫がボールでビリヤードをしている。碁に挟まれた猫。

のような感じでイメージしたり、机に並べたりして覚えます。

 

またこの技に慣れてくると、どこでも使えるスゴイ特技が生まれます。

それは「100桁の数字を3分で覚える」という技です。

100桁の数字を用意してもらい、自宅から職場までの道のりにストーリー仕立てで置いていきます。

たまに数字の前後を間違えますが、それでも「スゴイ!」と言ってもらえます。

私は100回ぐらいやってます。結構盛り上がります。

 

この『記憶の宮殿』は極めれば、記憶力世界チャンピオンにもなれます(実際に使わています)。

この記憶力を競う大会の場合は、数字1桁に一つのモノを置くのではなく、二桁(10から99まで)の数字全てにモノを準備しておくそうです。時間かかるわ。

 

余談①

余談ですが、私が高校生のときこの方法を使って大学受験の日本史Bで8割以上取れました。

高校の頃、理系のコースに進んだがゆえに日本史Bの授業を受けられなかったのですが、独学で8割取れたのはいまでも誇りです。

 

余談②

こちらも余談ですが、この『記憶の宮殿』の由来は古代ギリシアまで遡ります。

シモーニデースという男性が宮殿のパーティーに参加していたのですが、彼が外に出た瞬間、宮殿の天井が崩れてしまい、中にいた人々が全員つぶされてしまいます。

そこで中にいた人々の身元の調査を頼まれたシモーニデースは、どこに誰がいたか、何があったか鮮明に思い出すことができました

そこから、この『記憶の宮殿』が誕生したと言われています。

 

参考

私はこの動画を見て初めて『記憶の宮殿』を知りました。

TEDの動画で20分近くありますが、見てきた中で一番鳥肌が立った動画だと思います。


www.youtube.com

 

またこちらの書籍もおススメです。

もうタイトルのままです。

事前に何百個もの宮殿を用意しておき、そこにひたすら覚えたいモノを並べていきます。

 

まとめ

  • 『記憶の宮殿』は「楽しく多くのモノゴトを長く覚えておく」ための記憶術
  • 社会人でも資格勉強や数字を覚えたいときに使える
  • コツは「馴染みのある場所に、クスっと笑えるようなモノや置き方で楽しく覚える」

 

以上が、社会人でも使える最強の記憶法『記憶の宮殿』でした。

あれ?犬養毅が殺害された事件ってなんだったっけ?

ヒトの心理は面白い!ちょっと賢くなれる行動経済学の本5選

行動経済学はとても面白い学問で、初心者にもとっつきやすいのが大きな特徴です。

たとえば身の回りの値段や商品の並べ方、商品の見せ方など普通に生活してるだけじゃ気づかない仕組みについて気づき、深く理解することができます。

 

  • 1,000円のモノと2,000円のモノだと1,000円の方が売れていくが、3,000円のものをダミーで用意すると、なぜか2,000円のものが売れていく。
  • 「ビタミンCが1g配合」ではなく「1,000mg配合」と表記する方がたくさん入っているように見える。

 

などなど、世の中には当たり前だと思っていることにも実は売れるように工夫された例がたくさんあります。

行動経済学を学ぶことによって、商売やマーケティングの裏にある仕組みを学ぶことができます。

 

そこで今回は読んで良かった、学びになった行動経済学に関する本を5冊紹介したいと思います。

 

1.『その科学が成功を決める』著:リチャード・ワイズマン 訳:木村博江

「成功する自分をイメージするのは逆効果」

「集団で何かを考えることは1人で考えるよりも創造性に欠ける」

など巷に溢れる自己啓発法について、実験を元に検証してみたという内容です。

 

特に以下の3つはオススメです。

「なぜ二の腕に少し触れるだけで好感度が上がるのか」

「人気を集めるのは意表を突く言葉」

「お客の抵抗力を奪うセールステクニック」

 

2.『行動経済学の逆襲 上・下』著:リチャード・セイラー 訳:遠藤真美

 

A:6歳の女の子がクリスマスまで寿命を延ばす手術をするのに何千ドルもかかる。
B:病院設備が老朽化しており、売上税がないと救える命が減ってしまう。

どちらの方に募金は集まりやすいかというと、Aの方です。

人は「統計上の命」よりも「顔が見える個人の命」の方が重要だと感じます。

 

このように合理的だと思われてきた人間の行動が実は不合理な面もあると、様々な実験を用いて検証されています。

 

3.『予想どおりに不合理』著:ダン・アリエリー 訳:熊谷淳子

人間の行動は不合理です。

しかしそんな不合理な行動も予想はできます。

予想ができるのであればいままで続かなかったダイエットだって工夫次第で、続けられるようになります。

 

不合理な行動とは例えば、

A:ゲーム機が10,500円→10,000円に値下げ

B:10,500円のゲーム機に今なら「スタバの300円無料券」がついてくる

どちらの方が売れるかといえばBの方です。

しかし実際トクをするのはAの方です。

ならば、なぜ人はより得になる方を選ばないのか?

 

本書ではこのような不合理な行動について解説されています。

 

4.『ファスト&スロー』著:ダニエル・カーネマン 訳:村井章子

この本は名著中の名著ですが、名著というだけにちょっと難しいです。

結構考えて読まないと理解できません。

ですが理解できたとき、人の心理について人一倍理解できているはずです。

 

「この結婚は長続きしないだろうという予感がしていたが、結局私はまちがっていた」

というような文章にはめったにお目にかからない。

人は過去を理解していて、未来を予想できると思い込んでしまいます。

過去から予想できる未来がストーリーとして心地よいものであればあるほど、予想を深く信じてしまいます。

 

さらにニュースやメディアでは予想が当たったときにだけ大きく報道されるため、人の記憶には「最初の直感は当たる」といった間違った思い込みが刻まれることになります。

10年前の東日本大地震から今回のコロナのように「10年に一度大きな災害が来る」といった思い込みも同じです。

災害が起きることは誰にも予想できないため、10年ごとに災害が起きるという事象はたまたまでしかありません。

 

本書では、このような間違った思い込みや認識について新たな知見を提供してくれます。

 

5.『残酷すぎる成功法則』著:エリック・バーガー 訳:橘玲

本書のテーマは「成功」です。ただの自己啓発本だと思って読んだのですが思ったより科学的だったので紹介します。

 

本書では「成功者は学校の成績が悪かった」ことや「成功者は内向的な人も多い」など、成功者についての間違った認識を科学的に検証しています

ほかにも「共感で犯罪者を無抵抗にする」や「困難を乗り越える人に共通した心理」などどれも目新しく、面白い内容が満載です。

 

一部紹介すると、「困難を乗り越える人に共通した心理」とは「あともうちょっと」の精神です。

山で遭難したが助かった人の多くは、心の中で「あと少しだけ頑張ろう」という精神を何百回も繰り返して徐々に行動し救助されました。

 

このように成功者のマインドや間違った思い込みを修正することができる本となっています。

 

なんだブルーオーシャン戦略って丼屋さんをかつ丼専門店にするようなもんじゃないか

『ブルー・オーシャン戦略』

すみませんまだ128ページまでしか読んでません。

ただ、128ページ読んだだけでも学びが多かったので共有します。

 

 

ブルー・オーシャン戦略とは

ブルー・オーシャン戦略とは、簡単に言うと

「既存のやり方から何か辞めたり、特化したりして競争を避けなさい」

 

もっと簡単に言うと

何種類も丼を売るんじゃなくて、かつ丼一本に絞りなさい

ということです。

ブルー・オーシャン戦略では4つのアクションが重要になります。

  • 削ぎ落す (かつ丼以外を辞める)
  • 減らす  (料金を下げる、生産工程を減らす)
  • 大幅に増やす  (立ち食いで回転率を上げる)
  • 創造する  (大豆肉を使う、健康に良いかつ丼を創る)

以上の4つです。

 

本書の中では「サウスウェスト航空」や「シルクドソレイユ」が例に挙げられています。

ここではサウスウェスト航空を例に挙げてみましょう。


旅行客にとって低価格、かつ便数が多いことは混雑を回避でき、さらにお財布にも優しいためメリットが大きいです。

また、既存の航空会社はあらゆる場所(ラウンジや機内食)に力を入れています。

なので、サウスウェスト航空のように低価格にするのが難しいです。

確かにラウンジや機内食は飛行機とセットというのが常識でしたが、

私自身も実際に利用したことはありません。

 

多くの人にとって飛行機とは移動手段でしかありません。

電車やバスの中で料理が出てこないのと一緒で、

飛行機でも機内食を無くしたところで何の不便もありません。

 

このように何かを辞めたり、何かに特化したりすることが次なるブルー・オーシャンを生む戦略となります。

 

 

houkokukai.hatenablog.com

 

あなたの1万円はどこから?心理会計を学んで無駄遣いを無くすには

1万円の価値は人によって違います。

 

A:明日のご飯も買えないほどの貧乏大学生にとっての1万円

B:1億円の資産があるお金持ちにとっての1万円

 

両者にとって1万円の価値は天と地ほどの差があります。

Aにとって1万円は何としてでも手に入れたい1万円です。

Bにとって1万円はただの小銭です。凡人にとっての100円ぐらいの価値しかありません。

ここまでは理解できます。

 

次に、同じ人でも「時と場合」によっては1万円の価値が変わる場合があります。

 

A:偶然拾った1万円

B:汗水たらして稼いだ渾身の1万円

 

Aは偶然拾った1万円なので無駄遣いオブ無駄遣い、「ラッキー」と思って友達におごったり、おいしいモノを食べたりしてあっという間になくなるでしょう。

Bは頑張って働いてやっと手に入れた1万円なので、無駄遣いはしません。貯金か、あるいは大切なもののために使うはずです。

 

このように同じ人であっても、状況や背景によって1万円の価値は変動することがあります。これを経済学では「心理会計」と言います。

今回は「心理会計」について学んで行きたいと思います。

 

 

心理会計の具体例

心理会計とは「同じ金額でも使う目的や、稼いだ理由によってお金の重要度が変わってしまう現象」のことを言います。

冒頭でも述べたように、同じ1万円でも状況によって価値が変わっています。

他にも身の回りのあらゆる場所でこの心理会計を見ることができます。

 

例① 旅行先で木刀や全く意味のないモノを買ってしまう

修学旅行で木刀を買ったり、お祭りで光る剣を買ったりして無駄遣いした経験はないでしょうか。

普段なら10円、20円でも安い卵を買おうとするのに、旅行先やお祭りなどでは気が大きくなって、無駄遣いしてしまいます。

 

この理由は「非日常性」と「集団心理」が大きな原因となりますが、一旦置いておきましょう。

 

例② 宝くじで大金を当てた人が破産する

16歳の若さで190万ポンド(約3億6,000万円)を当てたカリー・ロジャースさん。

若くして宝くじを当て、大金を手に入れましたが、

  • 55万ポンドで家を4件購入
  • 26万5,000ポンドで車や贈り物
  • 45万ポンドでブランド物の服やパーティー豊胸手術

などなど、あっという間に全財産を使い切ってしまいました。

恋人の逮捕や自殺未遂などあいまって、現在では清掃業を3つ掛け持ち、破産の一歩手前まで行ってしまいました。

 

一見、「宝くじを当てたら人生楽勝でしょ?」と思うかもしれません。

ですが、実際は自分の器を超えたお金を手に入れてしまうと扱いきれず、無駄遣いを極めてしまいます。

このように、偶然手に入れたお金は使っても損をしないという心理に陥ってしまいます。

 

心理会計を理解して無駄遣いを減らすには

心理会計はどんな人でもどんな状況でも人の心に左右してしまいます。

なるべく無駄遣いをせずに、お金を守る方法を考えましょう。

 

お金の防衛策①:給料はまず「生活費」や「娯楽費」などに分ける

「貯金 方法」と調べればまず一番に出てくる方法です。

基本中の基本らしいのですが、筆者は全くもってしていません。

なぜなら「無駄遣いが大好き」だからです。

説得力無いですね、すみません。

 

しかしこの方法は確かに効果的だと思います。

筆者が貧乏大学生だったころ、バイトを3つ掛け持ちしていました。

その理由は、気合で在学中に学費を払うためで、何としてでも「在学中に全部払いきるんだ」という思いから死に物狂いで働いていました。

 

その頃は「学費用」と「生活費用」と「遊ぶ用」に分け、別々で口座を分けて管理していました。

「遊ぶ用」には毎月5千円ぐらいしか置いておけませんでしたが、それでもなんとか学費を払いきり、白髪は増えましたが大した病気をすることなく卒業することができました。

 

このように用途によって収入を分けておくことは、心理会計で無駄遣いをしないために有効だとそのとき感じました。

 

お金の防衛策②:現金で払う

クレジットカードは偉大です。

魔法のカードです。

魔法のカードを見せるだけで簡単に欲しいものが手に入ります。

 

ですが1か月後は地獄です。

気づいたら10万円を超えてることもざらです。

クレジットカードを使うことで、人は現金よりも1.7倍も多くお金を消費してしまうという研究があるくらいです。

(出所 日本クレジットカード協会「現金とクレジットカード間の購入単価格差に関する調査」)

 

特にタクシーでは2.06倍、雑貨や文具に至っては2.54倍も現金より多く使ってしまう傾向があるそうです。

 

このように支払い方法一つでも心理会計が作用し、無駄遣いを誘発してきます。

そのための防衛策はもうクレジットカードを使わないしか方法はありません。

クレジットカードを使うとポイントが貯まるのも、結局人はそれ以上にお金を使ってるので損としか言わざるを得ませんね。

 

まとめ

  • 人はお金の使い方や、稼いだ理由によってその価値が変わってしまう。
  • どれだけ大金を手に入れても、それに見合った器がなければすぐに失ってしまう。
  • クレジットカードは1.7倍現金より浪費してしまう。

「1,000mg」が「1g」と同じ意味だと気づいたあなたは賢い(フレーミング効果)。

A:彼は「3勝7引き分け」のボクサーです

B:彼は「10戦無敗」のボクサーです

 

上記の場合どちらのボクサーが「強い!」という印象を受けるでしょうか?

そう、Bの方ですよね。

Aの方は「なんだ3回しか勝ってないじゃん」と思われますが、

Bの方は「10回も戦って負けたことないなんてすごい!」と思われます。

 

どちらも「10回負けたことない」という意味では同じです。

しかし、伝え方によって彼に対する印象が変わります。

これがフレーミング効果です。

今回はフレーミング効果の概要とその例について学んでいきたいと思います。

 

 

フレーミング効果とは?

フレーミング効果とは、モノの言い回しや提示の仕方によって人々の考え方や選択に影響を与える現象のことです。

最初に提示したとおり、同じ意味でも言い方ひとつで印象が変わります。

 

以下のような例が代表的です。

 

  • 「1,000ミリグラム配合」と「1グラム配合」
  • 顧客満足度90%」と「10人に1人が満足しなかった」
  • 「2枚買うと1枚無料」と「半額」
  • 「100人中99人が確実に助かります」と「100人中1人が確実に死にます」
  • 「5%ポイント還元」と「5%値引き」

 

どれも身の回りでよく見る光景ですが、どの言い方が「より売れる」か売り手側が知恵をふり絞ってPOPや宣伝に使われています。

例えば、宅配ピザの売り文句に「2枚買うと1枚無料」とよく見ますが、あれは「2枚半額で売っています」と言っているようなもんです。

よりお得に感じるのは1枚無料でもらえるほうですよね。

だから「1枚無料」という言い回しが採用されています。

 

このように「物は言いよう」です。

「付き合ったのは1人だけ」より「愛した女は1人だけ」って言ってる方がカッコいいということです。嘘です。ダサいです。

 

まとめ

  • 言い回しによって商品やメッセージの魅力が変わる。
  • フレーミング効果を利用して広告や宣伝を工夫することで、売れる言い回しを見つけることができる。
  • 例えば、「2枚買うと1枚無料」は「2枚半額で売っています」と同じ意味だが、お得感が強調されている。
  • 言葉の選び方によって印象が変わることを理解し、フレーミング効果を応用することが重要。

損したくないという気持ちが損をする。プロスペクト理論を学んで賢くなろう。

プロスペクト理論を理解することで、自分や他の人々がなぜ特定の選択をするかがわかり、より賢い判断ができるようになります。

 

例えば、買い物するときや将来のことを考えるとき、私たちは「利得」と「損失」を感じることがあります。「利得」は好きなものを手に入れたり、目標を達成したりするときに感じ、「損失」は、大切なものを失ったり、目標を達成できなかったりするときに感じます。

プロスペクト理論では、人々は「利得を受けること」よりも「損失を回避すること」を重要視する傾向があるとされています。つまり、何かを手に入れるよりも、失わないようにすることの方が大切だと感じます

 

そこで今回はプロスペクト理論の概要についてとビジネスへの応用例についてみていきたいと思います。

 

 

 

プロスペクト理論とは

プロスペクト理論とは、1979年に行動経済学者であるダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏によって提唱された理論で、「人は何かを得るよりも失わないことの方が大切」といった人の心理について解き明かしました。

 

以下の実験についてちょっと考えてみてください。

A:何もせず100万円受け取れる

B:コインを投げて表なら200万円、裏なら0円

AとBどちらを選ぶでしょうか?

もちろんAですよね。Aの方は確実に100万円もらえますが、Bの方は何ももらえない可能性があるから、もちろん確実に100万円もらえるの方を選びます。しかし、AもBも期待値は100万円です。Bの方が50%の確率で200万円になるので、もしかしたら100万円よりも多くお金がもらえるかもしれません。

 

それにもかかわらず、多くの人はAを選びます。それは「人は何かを得るよりも失わないことの方が大切」だからです。

 

もしBの選択肢が300万円になればどうでしょうか?400万円になれば?500万円になれば?500万円になれば100万円の5倍なのでやってもいいんじゃないと思います。ですが、もし裏が出れば0円になると思うと、やっぱり100万円の方を選んでしまいます。

 

おもしろいですね。おそらく筆者は1,000万円でも躊躇します。それくらい人の「損をしたくない」という気持ちは大きいモノです。

 

プロスペクト理論の応用例

このプロスペクト理論はいろいろな場所で体験することができます。例をいくつか取り上げてみましょう。

 

例①:新車を買ったオーナーが様々なオプションを平気で付けてしまう

これは「大金を払ったあとは少し高くても大したことないと思ってしまう」という心理で、例えば500万円の車を買った後、1万円や2万円のオプションを安いと思ってしまうい、特に必要ないのにもかかわらず買ってしまうという心理です。

 

例②:期間限定やタイムセール

これはご存じの通り、「いま買わないと損してしまう」という気持ちから、思わず買ってしまうという心理です。これも人の「損をしたくない」という気持ちを使ったセールス手法です。

 

例③:「昨日投資しておけばよかった」と思いたくないがゆえに、今日投資をしてしまう投資初心者

「今日投資せずに、明日株価が爆上がりしたら嫌だから今日投資しよう」と考え投資してしまう投資家も「損をしたくない」という気持ちに踊らされています。

 

まとめ

  • プロスペクト理論は、ダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏によって提唱された心理理論。
  • 人は失うことを避ける傾向があり、確実性を好む傾向がある。
  • 期待値の観点からはAもBも同じだが、確実性を選ぶ傾向がある。
  • 選択肢が大金でも「損をしたくない」という気持ちが影響する。